とあるサラリーマン
ランチタイムのピークを過ぎた14時頃、遅めの食事を取っていた時に
不意二つ隣りの席から聞こえてきた声。横目で見ると、
そこには会話の内容や雰囲気などからサラリーマンと思われる男3人が昼食をとっていた.
「・・・・・・ほ、ほんとだよな」
勢いよく上司への不満を吐く男に対し、対面に座っていた男が軽く相槌を打つ。
実にありふれた光景。
さらに彼の愚痴は続く。
「マジあいつ何考えてんだよ! あんな資料くらい自分で作れってんだよなぁ!?」
「・・・・・・ま、まあ・・・だよねぇ。 あんなのまでいちいちやってられないよね。
自分の仕事がなかなか捗らないしね。」
「ホント信じらんねぇよあのハゲッ! どっか飛ばされねぇかな!? 北海道とか。」
「・・・・・・ああ・・・うん・・・だね。」
約1名、やけにエキサイトしている人物がいるが、
他の二人はたどたどしく相槌を打つだけ。
なんとなく不思議に思い、エキサイトさんがどんな人なのかをうかがうため、
それとなく横目で見ていた俺だが思い切って
そのサラリーマンたちの方に目を向けてみることにした。
その時であるッ!
俺に戦慄が走ったッ!!
今まで先頭切ってハゲ部長を攻撃していたその彼が・・・・・・・・・・・・・
若干ハゲていたのである・・・・・・・・・・
これには心底愕然とした。
と同時に、「ある謎」も解けてしまった。
彼らが返事をするときのたどたどしさは、「おまえもじゃん!」って言葉が一瞬出かかるのを
必死で抑えていたわけだ。
良心という重りで。
そこそこ離れた席の俺でさえ痛々しいのだから、彼らの(気まずさ・やりきれなさ)たるや、想像を絶するものだろう。
育毛が「要」か「不要」かと問われれば、悲しいほどまでに「要」なエキサイトさん。
「シロ」か「クロ」かで言えば、間違いなく「クロ」なエキサイトさん。(ある意味クロくないが・・・・・)
彼の蛮勇はさらに続く。
「でも北海道に飛ばされるのはさすがにかわいそうか!
頭寒すぎだもんなあ!? あっはっは♪」
笑っていたのは彼だけだった・・・・・・・